2021年9月の注目ディール<西松建設が自己株式を対象としたTOBを開始>

2021-10-13

2021年9月21日、西松建設は自己株式の取得を目的としたTOBを開始する旨公表しました。買付株式数の上限として設定された15百万株は、発行済株式総数の27%にあたります。TOBの目的は、シティインデックスイレブンスなど、合計25%の株式を保有する村上世彰氏が率いるファンドからの株式取得です。
本TOBのストラクチャー自体に特別な点はありませんが、注目すべきは西松建設が繰り出した村上ファンドに対する対抗策でした。それは、村上ファンドに対して株式買増しの中止等を要請することの是非を株主総会の議案とし、村上ファンド以外の一般株主のみで決議するというもの。マジョリティ・オブ・マイノリティを利用してアクティビストの締め出しを図るものであり、新株予約権を利用した買収防衛策とは異なる新たな手法です。
実際には、村上ファンドが買増しをしない等の誓約書を提出したため、株主総会の決議事項からは取り下げられました。今後、この新たな手法の是非について、熱い議論が展開されるものと思われます。

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