2024年9月の注目ディール<ベインキャピタルがティーガイアを買収>
ティーガイアは2024年9月30日、ベインキャピタルがTOB等の一連の取引を通じて同社を買収することを公表しました。ティーガイアの筆頭株主である住友商事(所有割合41.80%)と第2位の株主である光通信グループ(所有割合はグループ合計で28.86%)も、所有株式の全てを売却することに合意しています。
本件は、3度のTOB、スクイーズアウトのための株式併合及び相対取引を組み合わせたプロセスが採用されています。更に、マジョリティ・オブ・マイノリティが設定されていることも、他にはない特徴といえるでしょう。
このまま何事もなくTOBが成立するか、注意が必要です。
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2024年8月の注目ディール<伊藤忠商事がデサントに対するTOBを公表>
2024年8月5日、伊藤忠商事がデサントに対するTOBを開始する旨公表しました。2019年に注目を集めた敵対的TOBから5年を経てたうえで、今度は完全子会社化を目指します。本件では、TOB価格について厳しい交渉がされたことが伺えますが、結果として、プレミアムは17%~25%と他の案件と比べて高いものとはなりませんでした。
特別委員会は他ではあまり見られないロジックを展開して、当該TOB価格を認めたのか、とても参考になります。
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2024年7月の注目ディール<ヘリオステクノHDに対するTOBが不成立>
RSテクノロジーズが2024年6月3日より実施していたヘリオステクノホールディングスに対するTOBが、7月13日に不成立となりました。本件は、少数株主との利益相反が問題となりやすいMBOや支配株主によるTOBではなく、また、最近増加してきた同意なき買収でもありません。そのため、特定株主間の利害対立という特殊な要因が不成立の原因となったわけではありません。
本件が不成立に追い込まれた原因を考察したいと思います。
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2024年6月の注目ディール<ジャパンフーズに対するTOB>
2024年6月20日、同年5月より実施されていたジャパンフーズに対するTOBについて、公開買付人であるアイ・シグマ・キャピタルはTOB価格を1,994円から2,449円に引き上げる旨公表しました。これは、TOB期間終盤における市場株価の上昇を受けての対応であり、結果として、TOB不成立を開始することが出来ました。
但し、当初のTOB価格は時間をかけて実施したギリギリの交渉の結果合意された価格であったはず。TOB期間終盤に、急遽20%以上もの引き上げがされたことに驚きを隠せません。
本件の事例が、今後のTOBに悪影響を与えないことを望みます。
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2024年5月の注目ディール<エスライングループがMBOを実施>
2024年5月15日、路線トラックの中堅業者であるエスライングループ本社は、MBOのための手続きの一環としてTOBを開始することを公表しました。物流業界では、物流の2024年問題といわれるドライバー不足が懸念されるなか、業界再編機運が高まっており、買収合戦が繰り広げられています。
本件MBOは、事前の応募合意株主が多いことやTOB公表前の市場価格の動きなど、他の案件とは異なる状況を見ることができます。
その意味で、規模は大きくないものの、行方を注視すべき案件であると思われます。
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2024年4月の注目ディール<USMHがいなげやを株式交換にて完全子会社化>
2024年4月18日、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、株式交換によりいなげやを完全子会社化することを公表しました。USMHといなげやは共にイオンの上場子会社であり、本件は、2023年4月に公表されたイオン、いなげや及びUSMH間の基本合意に基づく経営統合のための手続きの一環として実施されるものです。
そのため、株式交換比率等の取引条件の是非は経営統合全体の観点から判断する必要があり、単独の株式交換に比べて、判りづらくなっています。本件のプレスリリースでは、残念ながら、その観点からの説明が不足していると思われました。
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2024年3月の注目ディール<AZ-COM丸和ホールディングスが同意なきTOBを公表>
AZ-COM丸和ホールディングスは2024年3月21日、C&Fロジホールディングスに対してTOBを実施する予定であることを公表しました。本件は、事前に同意を得たものではなく、同意なき買収提案です。
2023年8月の「企業買収における行動指針」公表後、本件のような同意なき買収提案が増えてきており、その位置づけも、普通の買収行為と位置付けられてきているようです。本件では、TOBの公表前に1年近くをかけて協議をしても合意に至らなかったという経緯もあり、C&Fロジホールディングスの取締役会と特別委員会が今後どのような判断と対応をするのか注目すべきです。
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2024年2月の注目ディール<ローランド ディー.ジー.がMBOを実施>
ローランド ディー.ジー.は、2024年2月9日に米国投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズをスポンサーとしてMBOを実施することを公表しました。同社は現在ローランドDGの19%を保有する主要株主であると共に、同社CEOを社外取締役として送り込んでいます。 その意味で、少数株主保護の観点がより重視されなければならない案件です。
本件TOBに対し、3月13日にブラザー工業が5月中旬を目途としてTOBを開始する予定であることを公表しました。経済産業省が公表した新たなM&A指針の下で、このような対抗TOBは増えていく可能性があります。その意味でも本件の注目度は高いと言えます。
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2024年1月の注目ディール<ベネッセがMBOを実施>
ベネッセホールディングスは、同社に対して1月30日より開始されるTOBへの賛同意見とこれに応募推奨をする旨を公表しました。ベネッセと言えば、外部からプロ経営者を社長に招聘するなど、所有と経営の分離を進めてきた企業です。現取締役に名を連ねる創業家の福田英明氏も非執行取締役であり、本件は、経営陣によるバイアウトと言うよりも、創業家によるバイアウトと言えるでしょう。
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2023年12月の注目ディール<第一生命HDがベネフィット・ワンにTOB提案>
第一生命ホールディングスは2023年12月7日、エムスリーによるTOBが進行中であるベネフィット・ワンに対してTOBを実施する予定であることを発表しました。第一生命HDは、11月17日のエムスリーによるTOBの公表を受けて、検討を本格化。ベネフィット・ワンとその親会社であるパソナグループとの事前協議もないまま、僅か3週間でTOB提案をしたことになります。
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