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2017年10月の注目ディール<KKRが日立国際電気に対するTOBを再開>
本年8月9日に一端見送られていた日立国際電気に対するTOBが再開されることとなりました。しかしながら、KKRが提案している公開買付価格の2,900円は市場価格を下回る水準です。
これに対して日立国際電気の第三者委員会は少数株主にとって不利ではないと結論付け、同社取締役会は公開買付に対する賛同を表明することに加えて、株主に対してTOBへの応募を奨励することまで決議しました。こうした対応は、当初TOBのプレスリリースがなされた本年4月時点の判断やその後の見送りがなされた8月時点の判断と大きく異なります。
本件はストラクチャーが複雑なことも併せて、非常にわかり辛い取引となりました。TOBの成否には不透明感が漂います。
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2017年9月の注目ディール<東芝メモリの売却先が日韓米連合に決定>
債務超過からの脱出をかけて実施されていた東芝半導体メモリー事業の売却プロセスが一つの節目を迎えました。譲渡先はベインキャピタルを軸とする日米韓連合で、売却価格は2兆円です。本件入札は、海外への技術流出を懸念する政府や、競合への売却を認めないウエスタンデジタルなどへの対応が求められたことにより、通常の入札では見られない迷走を見せました。
また、ようやく譲渡契約締結までたどり着いたものの、これから乗り越えないといけないハードルはいくつも残っています。東芝メモリの経営権を巡る駆け引きの本当の山場は、これから始まるのかもしれません。
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2017年8月の注目ディール<ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる矢継ぎ早の投資>
昨年、ソフトバンク・グループの孫正義会長がサウジアラビア王国パブリック・インベストメント・ファンドによる出資合意を取り付けたことを受けて設立されたソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の勢いが止まりません。本年5月に930億米ドルの出資コミットメントを集めたばかりですが、7月の2件の投資に続いて、8月にはインドEマーケットフレイスのフリップカート(25億米ドル)、医療ベンチャーのロイヴァント・サイエンス(11億米ドル)、コーワーキングスペースのウイワーク(44億米ドル)の3社に対して多額の投資を実行しています。
また、SVFはソフトバンク・グループの連結対象となるため、連結子会社となる投資先の経営成績はソフトバンク・グループの決算に直接取り込まれます。
常識外れのベンチャーキャピタルであるSVFの動向とその投資の成果に注目が集まります。
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2017年7月の注目ディール<アルプス電気によるアルパインとの経営統合>
アルプス電気は、上場子会社であるアルパインとの株式交換による経営統合と共に、持株会社制に移行するグループ再編を発表しました。但し、アルパインが米国SECの規制適用を受けることが想定されるため、株式交換は1年以上も先の2018年12月に予定されるアルパインの臨時株主総会承認を経て、2019年1月に実施される予定です。
両社にとって重要市場である自動車業界では、自動運転、コネクテッド・カー、電気自動車など急速なスピードで開発競争が繰り広げられています。そのスピードについて行くためのグループ再編であるならば、他のストラクチャー採用の判断もあったかもしれません。
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2017年6月の注目ディール<タカタがKSSをスポンサーとして民事再生手続きを開始>
エアバックの欠陥問題によって長期にわたり経営危機に直面していたタカタが6月26日に民事再生手続開始の申立てを行いました。10年にわたるリコールの結果、負債総額は1兆7000億円まで膨んだと見られています。オーナー家が6割の株式を握るオーナー企業におけるガバナンス欠如が、問題解決を遅らせた一因なのではないかと思われます。
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2017年5月の注目ディール<佐々木ベジ氏によるソレキアに対するTOBが成立>
佐々木ベジ氏と富士通が本年3月より繰り広げていたソレキアに対するTOB合戦は、佐々木氏の勝利に終わりました。富士通は「合理的限界を超える」として佐々木氏が提示した買付価格5,300円を上回る買付価格の提示を回避した結果です。
本件は経営陣が賛同する対抗TOBが不成立となる非常に珍しいケースとなりました。TOBに続いて、今度は佐々木氏とソレキア経営陣との攻防が始まるものと思われます。
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また、4月初旬までの経緯は2017年3月の注目ディールにまとめています。併せてご覧ください。
2017年4月の注目ディール<パナソニックがパナホームの完全子会社化を株式交換からTOBに変更>
昨年12月末に上場子会社であるパナホームを株式交換にて完全子会社化すると公表していたパナソニックは、4月21日にそのスキームをTOBに変更する旨発表しました。変更の理由は平成29年度税制改正により、連結納税に加入する際の時価評価課税の回避が可能となったことが挙げられています。但し、税制改正の内容は株式交換契約の時点で既に予見出来たことなど、疑問を感じる部分は少なくありません。
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2017年3月の注目ディール<富士通がホワイトナイトとしてソレキアに対する対抗TOBを開始>
2017年2月3日より佐々木ベジ氏が電子部品商社のソレキアに対して敵対的TOBを仕掛ていましたが、これに対し、3月16日に富士通がホワイトナイトとして名乗りを上げて翌日より対抗TOBを開始しました。当初2,800円であったTOB価格は、両社の激しい攻防により11日現在5,000円まで跳ね上がっており、市場株価も一時はTOB価格を超える5,300円を付ける熱狂ぶりを見せています。
本件は未だ進行中の案件であり予断を許しませんが、その株価が示唆する意味について、一度冷静に考えてみる必要がありそうです。
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(注)佐々木ベジ氏は4月12日16:35に訂正公開買付届出書を提出し、買付価格を5,300円に引き上げています。
本稿は当該提出前の状況に基づくものです。
2017年2月の注目ディール<日本板硝子が種類株発行による第三者割当増資を実施>
2017年2月2日、日本板硝子は、大手銀行系の企業再生ファンドであるジャパン・インダストリアル・ソリューションズとUDSメザニンファンドに対して優先株を発行し、400億円を調達することを発表しました。当該資金調達は、同社の株式時価総額の約半分の規模に当たる第三者割当増資であり、将来最大75%の希薄化が生じる可能性があります。
今回の資金調達が、2006年の英ピルキントン買収以来、業績不振に苦しめられてきた同社復活を後押しするものとなることを期待します。
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2017年1月の注目ディール<KKRによる日立工機のTOB>
2016年11月に明らかになったカルソニックカンセイの買収に続き、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がTOBを通じて日立工機を買収することが公表されました。買収にかかる総額は1470億円。本件も1株あたり580円という多額の配当金との組み合わせで実施され、親会社である日立製作所には税務上のメリットがもたらされます。
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