Archive for the ‘マーケット’ Category
2020年3月の注目ディール<前田建設工業による前田道路に対するTOBが成立>
2020年3月12日、前田建設工業が前田道路に対して実施していたTOBが成立しました。本件は、持分法適用関連会社に対する敵対的TOBとして注目が集まっていたTOBです。前田道路は純資産の25%を超える特別配当の実施を決定するなど、必死の抵抗を見せますが、結果としては買付予定数の1.6倍に当たる株式の応募があり、TOBは成立しました。
親子上場では、子会社側の一般株主の利益を保護するために、親会社から一定程度独立した経営が求められます。一方で、グループとしての効果的な連携が企業グループ全体の価値を高めることにつながります。本件では、グループ経営におけるガバナンスが有効に機能していなかったことにより、余計なキャッシュアウトが生じました。親子上場の関係が続く両社の経営は今後も注意が必要です
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2020年2月の注目ディール<META Capitalが澤田ホールディングスに対してTOBを開始>
2020年2月20日、META Capitalが澤田ホールディングスにTOBを開始する旨公表しました。澤田ホールディングスは、TOBに係る懸念点解消のための十分な議論が出来ていないとして、2月26日に意見表明を留保しています。
本件TOBでは、会社の意向とは別に、澤田ホールディングスの澤田会長が既に応募契約を締結しているなど、気になる点がいくつか見出せます。澤田ホールディングス取締役会は、本件が一般株主にとって利益のある提案となっているか、マーケット・チェックを実施する必要があると考えます。
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2020年1月の注目ディール<オフィスサポートが東芝機械に対して敵対的TOBを開始>
旧村上ファンド系のオフィスサポートが、1月21日より東芝機械を対象としたTOBを開始しました。東芝機械はこれに対して反対の意見表明をし、本件は敵対的TOBとなります。東芝機械は2019年6月に事前警告型の買収防衛策を廃止したばかりでしたが、本敵対的TOBに際し、改めて大規模買付行為等への対応方針を導入して、オフィスサポートと激しい攻防を展開しています。
本件は、買収防衛策をめぐるコーポレートガ・バナンスの在り方・考え方にも影響を及ぼし、多くの議論を巻き起こすきっかけとなると考えられます。本件の決着まで、両者を取り巻く動きから目が離せません。
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2019年12月の注目ディール<日立化成の売却先が昭和電工に決定>
2019年3月に明らかになり、7月より入札プロセスが進められていた日立化成株式の売却先昭和電工に決定されました。国内外における競争法のクリアランス取得等の手続きを経て、2020年2月に公開買付が開始される見込みです。公開買付価格は一株あたり4,630円。この価格は、入札プロセスの間に何度も急騰した市場株価を織り込んだものと考えられます。
当該買収価格が高値掴みでないことを検証するためにも、今後の両社の事業展開は注目に値します。
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2019年11月の注目ディール<ZホールディングスとLINEが経営統合に関する基本合意書を締結>
2019年11月18日、ヤフーの親会社であるZホールディングスとLINEは経営統合についての基本合意書を締結した旨発表しました。経営統合により、ZホールディングスはヤフーとLINEを完全子会社として傘下に収めます。本件のストラクチャーには、TOB、会社分割、株式交換が含まれており、全体としてとても複雑な取引となっています。最終合意前の段階であるため、本件では詳細まで明らかになっていない部分もありますが、注目すべきディールとして論点を整理しました。
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2019年10月の注目ディール<コシダカホールディングスが本邦初のスピンオフを実施>
10月10日、コシダカホールディングスは、スピンオフにより、女性専用フィットネスを展開するカーブス事業を分離・独立させる旨、発表しました。スピンオフとは、子会社または特定の事業を独立会社として切り出し、当該独立会社の株式を元の会社の株主に交付するストラクチャーです。2017年の税制改正により譲渡損益や配当に対する課税の繰り延べが可能となっており、また、2018年の改正産業力強化法により会社法の手続きの特例が設けられて使い勝手のよい手法となっていましたが、これまでに実績がありませんでした。本件が実現すれば、本邦初の事例となります。
本件ではスピンアウトされるカーブス事業の売上高がコシダカホールディングスの連結売上の4割以上を占めることから、単なるノンコア事業の切り離しとは違います。スピンアウト後の両社の経営状況や株主の動向等に引き続き注目が必要であると思われます。
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2019年9月の注目ディール<ヤフーがZOZOにTOBを実施>
9月12日、ヤフー(2019年10月1日よりZホールディングスに社名変更)がZOZOに対してTOBを実施する旨公表しました。本件は、ヤフーとZOZO間の業務・資本提携の一部であり、ヤフーがZOZOを連結子会社化するための手続きとして実施されます。買付予定数の上限は議決権比率が50.1%となる水準であり、本件TOBにより、ソフトバンクグループ傘下の上場子会社がまた1社増えることになります。
また、ZOZOの最大の広告塔でもあった前澤社長は、TOB公表日に退任。その保有株の大部分をTOBに応募します。前澤社長の抜けた影響が今度どのように効いてくるか注目は集まります。
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2019年8月の注目ディール<さくら総合リートに対する敵対的合併提案が決着>
本年5月より繰り広げられていたさくら総合リートに対する敵対的合併提案が、8月30日の投資主総会において、買収側のスターアジアグループに軍配が上がる形で決着しました。本件はJリート史上初の敵対的買収案件であり、約3ヶ月にわたり展開された泥仕合は、注目が集まりました。また本件では、リートの効果的・効率的運営のために設けられた諸制度が、健全な再編の障害になりうる可能性も垣間見られました。
今後リートに係る諸制度について、改めて検討する必要があると思われます。
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2019年7月の注目ディール<アサヒグループホールディングスが豪ビール会社を買収>
アサヒグループホールディングスは、アンハイザー・ブッシュ・インベブ社よりオーストラリア事業のカールトン&ユナイテッド・ブリュワリーズ社を買収すると公表しました。買収金額は1兆2000億円(160億豪ドル)であり、アサヒグループにとって過去最大の買収案件です。2016年以降、積極的に海外事業のM&Aを進めてきたアサヒグループは既に巨額ののれんをバランスシートに計上していますが、本件の実行により、これに数千億円単位の上乗せされることが予想されます。
アサヒグループは買収目的の一つとして、日欧豪の3極を核としたグローバルプラットフォームの構築を挙げています。その実現に向けて、どれだけのスピード感をもった対応がされるのか注目したいと思います。
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2019年6月の注目ディール<ビジョナリーホールディングスが優先株式を消却>
2000年代後半より業績不振に陥ったメガネスーパーは、2012年からアドバンテッジパートナーズ等の支援を受けて事業再生に取り組んできました。当初債務超過解消のために発行された優先株式は、2017年に同社が株式移転により設立したビジョナリーホールディングスに引き継がれていましたが、6月18日、ビジョナリーホールディングスは当該優先株式をすべて消却する旨の発表をしました。
優先株式の消却は「事業再生期」が終了したことを象徴するはずですが、この発表を受けて同社の株価は20%近くの暴落となります。優先株式消却のために複雑なストラクチャーが採用されたことに対する市場の評価は重く受け止める必要があると思われます。
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