2017年5月の注目ディール<佐々木ベジ氏によるソレキアに対するTOBが成立>
佐々木ベジ氏と富士通が本年3月より繰り広げていたソレキアに対するTOB合戦は、佐々木氏の勝利に終わりました。富士通は「合理的限界を超える」として佐々木氏が提示した買付価格5,300円を上回る買付価格の提示を回避した結果です。
本件は経営陣が賛同する対抗TOBが不成立となる非常に珍しいケースとなりました。TOBに続いて、今度は佐々木氏とソレキア経営陣との攻防が始まるものと思われます。
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また、4月初旬までの経緯は2017年3月の注目ディールにまとめています。併せてご覧ください。
2017年4月の注目ディール<パナソニックがパナホームの完全子会社化を株式交換からTOBに変更>
昨年12月末に上場子会社であるパナホームを株式交換にて完全子会社化すると公表していたパナソニックは、4月21日にそのスキームをTOBに変更する旨発表しました。変更の理由は平成29年度税制改正により、連結納税に加入する際の時価評価課税の回避が可能となったことが挙げられています。但し、税制改正の内容は株式交換契約の時点で既に予見出来たことなど、疑問を感じる部分は少なくありません。
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2017年3月の注目ディール<富士通がホワイトナイトとしてソレキアに対する対抗TOBを開始>
2017年2月3日より佐々木ベジ氏が電子部品商社のソレキアに対して敵対的TOBを仕掛ていましたが、これに対し、3月16日に富士通がホワイトナイトとして名乗りを上げて翌日より対抗TOBを開始しました。当初2,800円であったTOB価格は、両社の激しい攻防により11日現在5,000円まで跳ね上がっており、市場株価も一時はTOB価格を超える5,300円を付ける熱狂ぶりを見せています。
本件は未だ進行中の案件であり予断を許しませんが、その株価が示唆する意味について、一度冷静に考えてみる必要がありそうです。
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(注)佐々木ベジ氏は4月12日16:35に訂正公開買付届出書を提出し、買付価格を5,300円に引き上げています。
本稿は当該提出前の状況に基づくものです。
2017年2月の注目ディール<日本板硝子が種類株発行による第三者割当増資を実施>
2017年2月2日、日本板硝子は、大手銀行系の企業再生ファンドであるジャパン・インダストリアル・ソリューションズとUDSメザニンファンドに対して優先株を発行し、400億円を調達することを発表しました。当該資金調達は、同社の株式時価総額の約半分の規模に当たる第三者割当増資であり、将来最大75%の希薄化が生じる可能性があります。
今回の資金調達が、2006年の英ピルキントン買収以来、業績不振に苦しめられてきた同社復活を後押しするものとなることを期待します。
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2017年1月の注目ディール<KKRによる日立工機のTOB>
2016年11月に明らかになったカルソニックカンセイの買収に続き、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がTOBを通じて日立工機を買収することが公表されました。買収にかかる総額は1470億円。本件も1株あたり580円という多額の配当金との組み合わせで実施され、親会社である日立製作所には税務上のメリットがもたらされます。
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2016年12月の注目ディール<富士フィルムによる和光純薬の買収>
2016年7月下旬に開始された武田薬品の子会社である和光純薬の入札が決着し、富士フィルムが買収することに決まりました。和光純薬は上場企業ではありませんが、有価証券報告書提出会社であるのため、公開買付の手続きにより完全子会社化を目指します。また、本件では公開買付に先立ち、和光純薬が970億円の自己株式取得を実施することが予定されており、その結果、富士フィルムによる公開買付の総額は1547億円となる見込みです。
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2016年11月の注目ディール<KKRがカルソニックカンセイに対するTOB実施で合意>
2016年5月に明らかになっていたカルソニックカンセイ株式の入札プロセスが決着し、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が同社に対してTOBを実施することになりました。高めのプレミアムが付いた買付価格の1,860円以上に注目すべきは、カルソニックカンセイの分配可能利益を超える程の特別配当を組み合わせたスキームでしょう。
売り手の手取りを増やすために株式売却と配当金を組み合わせるM&Aの事例は他にもありますが、ここまで大胆なやり方は見たことがありません。
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2016年10月の注目ディール<アデランスがMBOを実施>
2016年10月14日、アデランスが国内ファンドのインテグラルと組んでMBOを実施すると発表しました。アデランスは、2009年にスティール・パートナーズとの経営権を巡った対立後から業績の立て直しを図ってきましたが、再度業績が悪化したことにより今度はインテグラルの支援を受けて再建に踏み出すことになりました。現在直面する窮地を乗り越えるための施策展開にむけて、インテグラルの活躍が期待されます。
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2016年9月の注目ディール<三菱商事がローソンに対するTOB実施で合意>
2016年9月16日、三菱商事は持分法適用関連会社であるローソンに対し、TOBを実施して子会社化する旨公表しました。「事業投資」から「事業経営」へと投資の視点をシフトさせる三菱商事によるローソンへの影響力強化が、コンビニ業界における競争にどのような展開をもたらすか注目が集まります。
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2016年8月の注目ディール<三菱化学が日本合成化学を完全子会社化>
2016年8月5日、三菱化学並びにその子会社である三菱化学ヨーロッパは、日本合成化学に対して公開買付を実施することを発表しました。日本合成化学は、三菱化学がその株式の51.49%を保有する上場子会社です。三菱ケミカルホールディングスグループには日本合成化学の他にも上場会社が5社ありますが、財務的な観点からも、日本合成化学の完全子会社化に合理性を見出すことが可能です。
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