Archive for the ‘マーケット’ Category

2019年5月の注目ディール<ソフトバンクによるヤフーの子会社化>

2019-06-11

ヤフーは、通信事業会社のソフトバンクに対する第三者割当増資を実施するとともに、自己株式TOBを実施しました。自己株式TOBは実質的に親会社であるソフトバンクグループからの買付であるため、ヤフーはソフトバンクグループの子会社からソフトバンクの子会社へと移動することになります。
本件一連の取引は、投資事業会社であるソフトバンクグループから見れば、グループ内におけるヤフー株式の移動と5000億円にのぼるキャッシュの吸い上げであり、ソフトバンクグループの連結決算上の影響は大きくありません。一方で、新たにヤフーを子会社化するソフトバンクは連結売上を約1兆円、当期利益を約800憶円それぞれ増加させるため、上場会社であるソフトバンク株主に対する影響は無視できません。
加えて、ヤフーは上場子会社を2社有していることから、親子4世代の上場という状況も生まれました。ソフトバンクグループの資本構造は、コーポレート・ガバナンスの観点から注視すべきと思われます。

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2019年4月の注目ディール<ジェクシードに対する敵対的TOBが失敗>

2019-05-12

香港のビーエムアイ ホスピタリティ サービシス(BMI)が2019年1月31日よりジェクシードに対して仕掛けていた敵対的TOBが失敗に終わりました。本件は小規模な案件ですが、敵対的買収事例の一つとして、その背景と経過を整理しておきたいと思います。

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2019年3月の注目ディール<エヌ・デーソフトウェアのMBOが成立>

2019-04-13

エヌ・デーソフトウェアに対するマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として実施されたTOBが3月25日に成立しました。経営陣による自社の買収であるMBOは、一般株主に不利益をもたらすリスクが高い取引形態であり、その取引の公正性の確保は重要な課題として認識されています。経産省も、2007年に策定したMBO指針の改定に向け、昨年末にMBOに係る論点を広く一般より求めるなど、その公正性確保のための検討を進めています。
同時期に進められていた廣済堂のMBOが不成立となったことから、その明暗を分けた要因は何処にあるかを見てみたいと思います。

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2019年2月の注目ディール<伊藤忠商事によるデサントに対する敵対的TOB>

2019-03-12

伊藤忠商事が開始していたデサントに対するTOBは、同社の経営陣より反対の意見表明が2月7日になされたことにより、改めて敵対的TOBであることが明らかになりました。プレミアムの高さと買付予定数が少ないことからTOBの成立は確実と思われますが、デサントでは経営陣だけでなく、労組、従業員、更にはOB会までがTOBに反対を表明しています。このことは、「TOBの成立」が「TOBの成功」とは素直に言えないことを意味します。

ルノーと日産自動車、北陸コーポレーションと大王製紙のように、大株主が会社に対して思うような影響力を発揮できない例は他にも存在します。これらは「企業とはだれのものか」、「株主の権利はどのように守られるべきなのか」という問いを改めて提起するものと思われます。

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2019年1月の注目ディール<廣済堂がMBOを実施>

2019-02-12

2019年1月17日、印刷業界の老舗である廣済堂は、同社の土井社長によるMBOの実施を発表しました。ベインキャピタルがスポンサーとなって実施されるTOBの買付価格は1株あたり610円で、プレミアムも前日の終値に対して44%と高く設定されました。しかしながら、市場価格はTOB価格を上回る水準で推移し、2月4日にはレノによる株式の買い集めも明らかになります。
廣済堂は2月12日に「MBOに伴うFAQ」を開示して、一般株主との対話に努めています。TOB期間の最終日である3月1日まで、目を離すことが出来ません。

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2018年12月の注目ディール<日立製作所がABBより送配電事業を買収>

2019-01-13

2018年12月17日、日立製作所はスイスの重電大手ABBより、送配電や制御などの電力システム事業(パワーグリッド事業)を買収することを公表しました。ABBが分社化するパワーグリッド事業に対し、2020年前半を目途に日立製作所が80.1%の株式を取得します。ABBのパワーグリッド事業の売上規模は110億米ドルで、2017年まではABBの4つの事業セグメントの中で最大の事業でした。この事業を買収することにより、日立製作所の電力・エネルギー事業は一気に3.5倍規模に膨れ上がります。
クロスボーダーM&Aの経験が豊富な日立製作所も、本件ほどの大型案件は初めてです。2020年のDay1に向けて、今度具体的な調整と手続きが始まりますが、その中で、日立製作所が強力なリーダーシップを発揮してDay1プロジェクトを進めることが期待されます。

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2018年11月の注目ディール<東芝がLNG事業から撤退>

2018-12-10

東芝は2018年11月8日、以前より最大1兆円の損失リスクが指摘されていた米国のLNG事業からの撤退を発表しました。具体的には、中国ガス大手のENNグループに対して、2019年3月までに東芝アメリカLNGコーポレーションの株式を15百万ドルで売却します。加えて、移管する契約に係る損失補てんのための一時金として、同社に821百万ドルを支払うことでも合意しました。
但し、本件成立までには、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)の承認を取らなければならないという高いハードルがまだ残されています。折しも米中貿易戦争の真っただ中です。ルールよりもディールを重視するトランプ政権がどのような判断をするかも見ものです。

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2018年10月の注目ディール<イオングループがスーパーマーケット事業を再編>

2018-11-13

イオングループは昨年12月発表の中期事業計画で明らかにしていた全国のスーパーマーケット事業の再編について、改めて具体的な手法を明らかにしました。再編は、8社の上場企業を含む14子会社を全国のエリア毎に経営統合するというものです。
エリア毎の再編における統合比率は今後決定される予定ですが、全ての統合当事会社の親会社であるイオンには、これが上場会社各社の少数株主にとって公正な比率となるようにすることが求められます。少数株主保護のための手続きが、形式的なものに留まらないよう期待したいと思います。

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2018年9月の注目ディール<ADAKAによる日本農薬の子会社化>

2018-10-13

ADAKAが持分法適用関連会社の日本農薬に対してTOBと第三者割当増資を組み合わせて実施することにより、同社株式の所有比率を51%まで引き上げました。但し、買付予定数の上限設定によって応募株式の6割以上が買付の対象外となったことに加え、第三者割当増資の発行価額がTOB価格の74%程度の水準であったため、少数株主にとって不利益が生じているという見方がされています。
ADEKAにとって本件の目的は、農薬事業を同社のポートフォリオに取り込むことにより、ライフサイエンス事業をADEKAグループの第4の柱とすることです。この目的を早期に実現し、日本農薬の少数株主に対して還元していくことが、期待されます。

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2018年8月の注目ディール<KDDIと電源開発による共同TOB>

2018-09-11

2018年8月8日、KDDIと電源開発は共同で新電力のエナリスに対して公開買付を実施することを発表しました。エナリスは既にKDDIの持分法適用関連会社であるため、本件共同TOBは、卸電力事業者である電源開発がKDDI・エナリスの小売電力事業に資本参加をして、新たな事業連合を構築するものだと言えます。
2016年の卸規制の撤廃と小売全面自由化によって急激に競争環境の変化が進む電力業界にあって、新たな事業展開をもくろむ電源開発の動向に注目が集まります。

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