2021年11月の注目ディール<パイプドHDのMBOが失敗>
2021年11月15日、パイプドHD対するTOBが不成立に終わりました。本件TOBは、同社の佐谷社長がアドバンテッジパートナーズをスポンサーとして仕掛けたMBOの一貫として実施されたものです。TOB不成立の直接の理由はTOB価格におけるプレミアムの低さであると思われますが、本件では、自己株TOBとの組合わせや買付予定数の下限を下げる考え方など、今後の実務において参考にして良い工夫が見られます。
本件TOBが不成立に終わった要因を考察してみました。
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2021年10月の注目ディール<ユニバーサルエンターテイメントの子会社がDe-SPAC上場>
2021年10月15日、ユニバーサルエンターテイメントは、フィリピンの100%子会社を、米国NASDAQ上場のSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて同市場に上場させることを公表しました。日本企業が関連するDe-SPAC上場は、本年9月におけるサン電子のイスラエル子会社の事例に続いて2例目です。
日本市場ではまだ認められていないSPACですが、米国における資金調達やベンチャー投資のための選択肢として位置づける必要が出てきたと思われます。
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2021年9月の注目ディール<西松建設が自己株式を対象としたTOBを開始>
2021年9月21日、西松建設は自己株式の取得を目的としたTOBを開始する旨公表しました。買付株式数の上限として設定された15百万株は、発行済株式総数の27%にあたります。TOBの目的は、シティインデックスイレブンスなど、合計25%の株式を保有する村上世彰氏が率いるファンドからの株式取得です。
本TOBのストラクチャー自体に特別な点はありませんが、注目すべきは西松建設が繰り出した村上ファンドに対する対抗策でした。それは、村上ファンドに対して株式買増しの中止等を要請することの是非を株主総会の議案とし、村上ファンド以外の一般株主のみで決議するというもの。マジョリティ・オブ・マイノリティを利用してアクティビストの締め出しを図るものであり、新株予約権を利用した買収防衛策とは異なる新たな手法です。
実際には、村上ファンドが買増しをしない等の誓約書を提出したため、株主総会の決議事項からは取り下げられました。今後、この新たな手法の是非について、熱い議論が展開されるものと思われます。
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2021年8月の注目ディール<フーリハン・ローキーがGCAに対してTOBを開始>
独立系M&Aアドバイザリー会社であるGCAが、米国のフーリハン・ローキーの買収提案に合意しました。フーリハン・ローキーは8月4日にTOBを開始しています。GCAは米国及び英国の独立系投資銀行との経営統合を繰り返しながら、日本発のグローバル独立系M&Aアドバイザーとして事業を拡大してきましたが、今回の買収により外資系となることになります。今後の同社がどのように変わっていくかを見続けたいと思います。
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2021年7月の注目ディール<日本アジアグループに対するTOBがついに成立>
村上系ファンドのシティインデックスイレブンスによる日本アジアグループに対するTOBが7月30日に成立しました。本件は、2020年11月に開始された日本アジアグループのMBOに端を発し、敵対的TOB、特別配当、買収防衛策など、様々な策が展開されて紆余曲折の道のりを経てきました。
8月31日に開催される臨時株主総会で株式併合が承認され、スクイーズアウトが実施される予定ですが、当該臨時株主総会の基準日はTOB実施期間中の7月12日。この異例な取り扱いが、最後の波乱とならないことを祈ります。
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2021年6月の注目ディール<光陽社のMBOが失敗>
2021年6月12日、MBOを目的とした光陽社に対するTOBが不成立に終わりました。本件では、TOB期間中に大株主からの価格見直し要請を受け、当該株主と合意をしてTOB価格の上乗せを実施しています。更に、もう一人の個人株主は、TOB開始後に、信用取引を通じて株式を買い進め、20%超の筆頭株主となりました。
案件の規模としては大きくないものの、他の案件では見られない展開が続いており、今後の動きにも注目したいと思います。
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2021年5月の注目ディール<三信電気が自己株式を対象としたTOB実施を公表>
三信電気は、発行済株式総数の28.3%に当たる7,000千株(自己株式を除いた議決権ベースの所有割合にすると36.2%)の自己株取得を目指すTOBを6月22日から実施する旨公表しました。目的は資本効率の向上と村上ファンドの排除です。三信電気は、2018年5月にも発行済株式総数の30.7%を対象とする自己株TOBでは実施しており、村上ファンド対策として、約3年間の間に過半の自己株式を買い付けることとなりました。
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2021年4月の注目ディール<シティインデックスイレブンスが日本アジアGに再TOB>
日本アジアグループにおけるMBOに対抗してTOBを実施していたシティインデックスイレブンスは、一度はその撤回に追い込まれましたが、2021年4月に再度TOBの実行に踏み切りました。本件の行方も注目すべきですが、再TOBのきっかけとなった日本アジアグループによる買収防衛策発動が、今後のコーポレート・ガバナンスに係る議論に与える影響にも注意が必要です
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2021年3月の注目ディール<日邦産業が敵対的TOBに対して買収防衛策を発動>
フリージア・マクロスが開始していた敵対的TOBに対し、日邦産業は3月8日に反対の意見表明をする共に、買収防衛策に基づく対抗措置を発動することを公表しました。フリージア・マクロスは、この対抗措置の発動を予見していたにも拘わらず、表面上は十分な対応をしていたようには見えません。TOB期間の延長に加えて、今後どのような対抗策に出るのか注意が必要です。
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2021年2月の注目ディール<日本アジアグループのMBOが失敗>
日本アジアグループのMBOを目的として実施されていたTOBが、2021年2月9日に不成立となりました。村上ファンド系のシティイレブンスが問いかけた疑義を対し、経営陣側はTOB価格をつり上げて対抗しましたが、結局、MBOは失敗に追い込まれました。TOB価格を一気に2倍に引き上げることも可能となるような仕組みである複雑なストラクチャーの本件は、注目すべき案件の一つです。
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