2021年6月の注目ディール<光陽社のMBOが失敗>
2021年6月12日、MBOを目的とした光陽社に対するTOBが不成立に終わりました。本件では、TOB期間中に大株主からの価格見直し要請を受け、当該株主と合意をしてTOB価格の上乗せを実施しています。更に、もう一人の個人株主は、TOB開始後に、信用取引を通じて株式を買い進め、20%超の筆頭株主となりました。
案件の規模としては大きくないものの、他の案件では見られない展開が続いており、今後の動きにも注目したいと思います。
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2021年5月の注目ディール<三信電気が自己株式を対象としたTOB実施を公表>
三信電気は、発行済株式総数の28.3%に当たる7,000千株(自己株式を除いた議決権ベースの所有割合にすると36.2%)の自己株取得を目指すTOBを6月22日から実施する旨公表しました。目的は資本効率の向上と村上ファンドの排除です。三信電気は、2018年5月にも発行済株式総数の30.7%を対象とする自己株TOBでは実施しており、村上ファンド対策として、約3年間の間に過半の自己株式を買い付けることとなりました。
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2021年4月の注目ディール<シティインデックスイレブンスが日本アジアGに再TOB>
日本アジアグループにおけるMBOに対抗してTOBを実施していたシティインデックスイレブンスは、一度はその撤回に追い込まれましたが、2021年4月に再度TOBの実行に踏み切りました。本件の行方も注目すべきですが、再TOBのきっかけとなった日本アジアグループによる買収防衛策発動が、今後のコーポレート・ガバナンスに係る議論に与える影響にも注意が必要です
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2021年3月の注目ディール<日邦産業が敵対的TOBに対して買収防衛策を発動>
フリージア・マクロスが開始していた敵対的TOBに対し、日邦産業は3月8日に反対の意見表明をする共に、買収防衛策に基づく対抗措置を発動することを公表しました。フリージア・マクロスは、この対抗措置の発動を予見していたにも拘わらず、表面上は十分な対応をしていたようには見えません。TOB期間の延長に加えて、今後どのような対抗策に出るのか注意が必要です。
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2021年2月の注目ディール<日本アジアグループのMBOが失敗>
日本アジアグループのMBOを目的として実施されていたTOBが、2021年2月9日に不成立となりました。村上ファンド系のシティイレブンスが問いかけた疑義を対し、経営陣側はTOB価格をつり上げて対抗しましたが、結局、MBOは失敗に追い込まれました。TOB価格を一気に2倍に引き上げることも可能となるような仕組みである複雑なストラクチャーの本件は、注目すべき案件の一つです。
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2021年1月の注目ディール<日本製鉄が東京製綱に対して敵対的TOBを開始>
2021年1月21日、日本製鉄はワイヤロープ大手の東京製綱に対してTOBを開始する旨公表しました。本件のTOBは事前に東京製綱の合意を得たものではなく、同社が2月4日に反対する旨の意見表明を発表して敵対的TOBとなりました。以前はタブー視されていた敵対的TOBも、最近では珍しいものではなくなってきましたが、本件では買付予定数の上限が低いことが特徴的です。株主としてのコミットメントを高めるとしながら、20%未満の所有比率に留めることに、中途半端な印象を拭えません。
日本製鉄が本件TOBの目的を果たすためには、TOB後の次の一手が重要であると思われます。
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2020年12月の注目ディール<TCSホールディングスが上場子会社3社に対してTOBを開始>
2020年12月16日、TCSホールディングスが上場子会社であるアンドール、アイレックス及びテクノ・セブンに対するTOBを同時に実施する旨公表しました。対象会社の3社は何れもジャスダック市場の上場のIT関連企業であり、類似点も多いのですが、その評価額算定の考え方には明らかな違いが伺われます。
ディールサイズとしては大きくありませんが、傘下に上場企業7社を有する非上場企業による同時TOBとして、注目してみました。
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2020年11月の注目ディール<三井不動産が東京ドームに対してTOBを開始>
2020年11月27日、三井不動産が東京ドームに対するTOB開始を公表しました。これは、香港のファンドであるオアシスが東京ドームに対して仕掛けていたTOB提案に対抗するものであり、実質的に三井不動産がホワイトナイトとして登場したことを意味します。
三井不動産のTOB公表を受けて、オアシスは応募の意向を示していますが、応募契約に向けた条件交渉はこれからです。オアシスの株主提案を受けた臨時株主総会も控えており、TOB期間が終了する20201年1月18日まで目が離せない状況です。
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2020年10月の注目ディール<島忠に対してニトリがTOBの意向を表明>
2020年10月2日、ホームセンター業界大手のDCMホールディングスは島忠に対する経営統合を目的としてTOBを開始する旨公表しました。これに対し、ニトリが10月30日に島忠に対してTOBを通じた経営統合提案を公表します。これは島忠との協議開始前になされたものであり、異例な買収提案となりました。
既にDCMによるTOBに対して賛同表明している島忠の経営陣と特別委員会が、これを遙かに上回る買付条件を提示してきたニトリの提案をどのように評価するに注目が集まります。
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2020年9月の注目ディール<NTTがNTTドコモを完全子会社化>
2020年9月29日、NTTは上場子会社であるNTTドコモの完全子会社を目指してTOBを開始すると発表しました。その買付総額は4兆2544億円におよび、我が国史上最大規模のTOBとなりました。本件TOBにより、NTTは4兆円を超える新規借入と2兆4千億円と予想されるのれんを計上することになります。
MBOガイドライン公表以来、子会社の少数株主の利益保護に注目が集まってきましたが、これによって親会社株主の利益が毀損しても良いと言うことにはなりません。NTTは本件の完全子会社化の効果を高める施策として、更なるグループ再編を示唆しています。今後のNTTの経営からは目が離せません。
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