2020年8月の注目ディール<MBOを目的としたニチイ学館に対するTOBが成立>
2020年5月9日から実施されていたニチイ学館に対するTOBが8月17日に成立しました。本件は、ニチイ学館の一部経営陣と創業家である寺田家がベインキャピタルの支援を受けて実施したMBOです。6月にリム・アドバイザーズによるTOB価格の引き上げ要求が明らかになるなど、一時は、その成立が危ぶまれていましたが、エフィシモとの応募契約にこぎつけたことにより、無事成立することが出来ました。但し、エフィシモと他の一般株主との間の公平性が保たれたかどうかについては疑問が残ります。
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2020年7月の注目ディール<伊藤忠商事が上場子会社のファミリーマートにTOBを開始>
2020年7月9日、伊藤忠商事が上場子会社であるファミリーマートにTOBを開始する旨公表しました。TOB価格は2,300円。買付予定数の下限は9.9%に過ぎず、マジョリティ・オブ・マイノリティの水準を大きく下回ります。これに対してファミリーマートの取締役会は、TOBに賛同意見を表明する一方で、TOBへの応募は推奨せず、株主の判断に委ねることを決議しました。
市場株価はTOB価格を上回る水準で推移しています。伊藤忠商事が取引条件の変更を安易に認めるとは考えられませんが、今後の同社の対応に注目が集まります。
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2020年6月の注目ディール<LIXILグループが上場子会社のLIXILビバを売却>
2020年6月9日、新潟県を地盤としてホームセンターを展開するアークランドサカモトがLIXILビバに対するTOBを実施することを公表しました。通常のTOBとは異なるストラクチャーを採用していますが、その実態はLIXILグループによる上場子会社LIXILビバの売却です。本件は、一般株主とのいわゆる利益相反取引にはあたりませんが、LIXILグループとLIXILビバは特別委員会を設置するなどして、取引の公正性担保のために厳格な手続きを実施しました。
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2020年5月の注目ディール<ソニーがソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化>
2020年5月19日、ソニーは上場子会社であるソニーフィナンシャルホールディングスに対してTOBを実施することを公表しました。これは2021年4月を目途に進めるソニーグループの経営機構改革の一環として行わわれるものです。
2019年6月にMBO指針が公表されて以来、上場子会社に対するTOBも公平性担保の措置が強く要請されるようになっています。本件では、特別委員会に広い役割と権限を付与することを通じて公平性を担保した事例として、参考とすべきものと考えます。
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2020年4月の注目ディール<ユニゾホールディングスにおけるEBOが成立>
2020年4月2日、ユニゾホールディングスに対する従業員による買収(EBO:Employee Buyout)が成立しました。2019年7月にエイチ・アイ・エスが仕掛けた敵対的TOBが発端として始まった9ヵ月に渡るTOB合戦にようやく終止符が打たれます。本件においてユニゾホールディングスが見せた様々な対応は、今後の敵対的TOB案件において、参考に出来ることが多いと思われます。
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2020年3月の注目ディール<前田建設工業による前田道路に対するTOBが成立>
2020年3月12日、前田建設工業が前田道路に対して実施していたTOBが成立しました。本件は、持分法適用関連会社に対する敵対的TOBとして注目が集まっていたTOBです。前田道路は純資産の25%を超える特別配当の実施を決定するなど、必死の抵抗を見せますが、結果としては買付予定数の1.6倍に当たる株式の応募があり、TOBは成立しました。
親子上場では、子会社側の一般株主の利益を保護するために、親会社から一定程度独立した経営が求められます。一方で、グループとしての効果的な連携が企業グループ全体の価値を高めることにつながります。本件では、グループ経営におけるガバナンスが有効に機能していなかったことにより、余計なキャッシュアウトが生じました。親子上場の関係が続く両社の経営は今後も注意が必要です
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2020年2月の注目ディール<META Capitalが澤田ホールディングスに対してTOBを開始>
2020年2月20日、META Capitalが澤田ホールディングスにTOBを開始する旨公表しました。澤田ホールディングスは、TOBに係る懸念点解消のための十分な議論が出来ていないとして、2月26日に意見表明を留保しています。
本件TOBでは、会社の意向とは別に、澤田ホールディングスの澤田会長が既に応募契約を締結しているなど、気になる点がいくつか見出せます。澤田ホールディングス取締役会は、本件が一般株主にとって利益のある提案となっているか、マーケット・チェックを実施する必要があると考えます。
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2020年1月の注目ディール<オフィスサポートが東芝機械に対して敵対的TOBを開始>
旧村上ファンド系のオフィスサポートが、1月21日より東芝機械を対象としたTOBを開始しました。東芝機械はこれに対して反対の意見表明をし、本件は敵対的TOBとなります。東芝機械は2019年6月に事前警告型の買収防衛策を廃止したばかりでしたが、本敵対的TOBに際し、改めて大規模買付行為等への対応方針を導入して、オフィスサポートと激しい攻防を展開しています。
本件は、買収防衛策をめぐるコーポレートガ・バナンスの在り方・考え方にも影響を及ぼし、多くの議論を巻き起こすきっかけとなると考えられます。本件の決着まで、両者を取り巻く動きから目が離せません。
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2019年M&Aファイナンシャル・アドバイザリー・レビューにランクインのお知らせ
リフィニティブ社が公表した日本M&A フィナンシャル・アドバイザリー・レビューにおきまして、弊社が2019年公表案件の20位にランクインいたしました。
価値の高いアドバイザリーサービスを提供することを通じてクライアントの皆様の成功に貢献し、引き続きこうした実績を一つ一つ積み重ねてまいります。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
2019年12月の注目ディール<日立化成の売却先が昭和電工に決定>
2019年3月に明らかになり、7月より入札プロセスが進められていた日立化成株式の売却先昭和電工に決定されました。国内外における競争法のクリアランス取得等の手続きを経て、2020年2月に公開買付が開始される見込みです。公開買付価格は一株あたり4,630円。この価格は、入札プロセスの間に何度も急騰した市場株価を織り込んだものと考えられます。
当該買収価格が高値掴みでないことを検証するためにも、今後の両社の事業展開は注目に値します。
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